生きるからにはそれなりに

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二流の人 坂口安吾 著

『彼は自ら評して常に己れを賭博師といふ。然り、彼は賭博師で、芸術家ではなかつたのだ。彼は見通しをたてゝ身体をはつたが、芸術家は賭の果に自我の閃光とその発見を賭けるものだ。』
安吾歴史小説は戦後の空気の中で一人の男が語る講談のようだ。まるで見てきたかのように揚々と人物達を語り出す。登場人物たちが生き生きと動くのではなく、それを語る男が文章の合間から浮かび上がってくる。
『いづれも正義を酒の肴の骨の髄まで戦争狂、当時最も純潔な戦争デカダン派であつたのである。』
と横文字で書き表してしまってもスンナリと飲み込める流れがまさにそれだ。

しかし黒田如水の小説と思いきや途中ほとんど小西行長が主人公状態になったのは意外だった。

二流の人

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