生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

川から文明が始まる

ジオラマブックス/トーベヤンソン・ニューヨークで花見(もうほとんど散っているが)という体裁でみんなで多摩川バーベキュー。
天気が良かったので電車ではなく原付で行く。春の日差しの中、多摩川沿いの道路をトコトコと走って流れる景色、風、スピードすべてが完璧で生きている楽しみを感じる。
コードウェイナー・スミスの短編にあった、寿命を管理された人類補完機構から抜け出し死のリスクを承知で別の惑星に降り立った人間が感じる喜びとはこんな風なのではないだろうか。
例えバイクが危険でスマートな乗り物でないとしても、それによってしか得られない喜びがある。
稲田堤、中之島あたりの多摩川沿いはとても素晴らしかった。広く、真っ直ぐ、穏やかに水は流れて輝いている。少し寂れた釣り人のための売店やボートがひっそりと姿を残していて、その隣では少年野球の活気がコントラストを鮮やかにしている。今でこそ数キロごとに橋がいくつもかかっているが数十年前はまだ渡し船もあったのだろうと思いを馳せる。寺もあればセメントや砂利の工場もあり、それらの文化や文明は川から生まれていったのだ。
そんなことをもっと抽象的に感じながら陽気にやられて頭のネジも緩みただただ幸福であった。
人と会い、自然を感じる。これ以上のことはない。こんな日が定期的に訪れれば人生はもっと豊かで全てを楽しく受け入れられるだろう。今度行き詰まったら川沿いをドライブしよう。文化的で豊かな暮らしを育もう。