生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

宮﨑駿という白鯨に片足をもぎ取られたエイハブ船長のお話

バケモノの子を観てきたのだが。

まだこの監督はハウルの動く城から降ろされたことを引きずってるのか。なんなんだ。こじらせすぎだろう。

主人公の親戚、渋谷の警官、高校生、区役所の役人、登場するモブが必要以上に冷たい。物語の装置としての冷たい人々や悪役を超えて露悪的、細田守の怨み節を強く感じる。本当にこの人は世の中を憎んでいて人間を信頼していないのだろう。よりにもよって導入部分における流れで怨恨が溢れているので作品に感情移入しようにも拒否感を呼び起こす。もうこの時点でダメかもしれないなぁという感触が強まる。

あとはもうなんとなく見ているだけになってしまう。アニミズムの世界観の中に白鯨というモチーフでキリスト教の価値観との対比を呼び起こそうと何をしようと、これは人間不信に陥った監督が呪詛を塗りたくって表面だけを美しい家族の話に見せかけたちぐはぐな作品なのだ。

あるいは社会や人類が信用できなくなった人間がその最小単位である家族という単位にすがりついて、世の中の大半は信用に値しないが家族だけは素晴らしくあるべきなのだという妄執にとらわれた作品かもしれない。

どちらにせよ自身の恨み辛みを漏らしながら家族って素晴らしいんだと声を上ずらせながら主張する説得力のない話を、わざわざ金を払って見たいとは思わない。そんなことをするのだったら無理に取り繕ったりせず、日テレを騙してでも自分の心の闇を片っ端からぶちまけてほしい。