ものの数時間で読み終わるほど平易に書かれた中東情勢に関する入門書。
恐ろしく読み易くできているのでとっかかりとしては良い本なのではないだろうか。
デヴィッド・ペトレイアス元大将の現地民への友好的な戦略、そもそものサイクス・ピコ協定による話のねじれ、湾岸戦争やアフガニスタン紛争から生まれていった戦争の連鎖反応、アラブ・ペルシャ・トルコのそれぞれの立場や特徴、クルド人という存在など、ダーイシュが跋扈するに至るまでの100年の流れや2015年(パリ同時多発テロ事件以前)時点での各国の思惑やバランスが大筋だけを丁寧に抑えてまとまっている。
扱っている話題が話題であるだけになるべく素早く出版まで持っていかないと時勢に置いて行かれてしまう話であるだけに平易で丁寧ではあるが考えこまれた美しい文ではなかったこと、図解がそこまで多くなかったのでイラン・イラクやスンニ派・シーア派については完全に区別がつかないまま途中まで読んでいた感じがする。
俄然オスマン帝国の歴史、オスマン帝国とイスラム教の交わる場所交わらない場所の文化的な点が気になってきた。