読了したのが二週間ぐらい前だっただろうか。
読んだのは文庫版ではなくて単行本サイズの方だったのだけれどリンクは文庫版で。
京都造形芸術大学で行われた講義の内容を本として編集したもの。経済が専門でない大学生に向けて語った内容の講義録なのですらすらと読める。
通貨や市場というものの成り立ちから丁寧に解説(経世済民が略されて経済になっただとか、通貨としてローマでは塩が使われていたのでサラリー、日本では稲だったので「値」という呼び方、中国では貝がかつて通貨として使われていたので貝偏の漢字がお金絡みに多いだとか)されており、その後はアダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマンという流れでそれぞれの経済学に対する講義となる。
高校の公民の授業でアダム・スミスは習うが改めて経済学の根底となっているのだと理解できる。
マルクスに関しては同じく池上彰の講義録の「高校生からわかる資本論」を読んだのでおおよそ語られていることは同じであった。
ケインズについては聞きかじった知識しか持っておらず、フリードマンについては一切の知識を持っていなかったのでこの辺りをさらりと抑えることもでき、また経済というのは生活の中に根付いている、生活の延長線であるということについて丁寧に語られている点においてとても良い本であった(リバタリアニズムと自由経済の説明の実例において日本での携帯電話の規制を無くした途端競争が起きて爆発的に進歩、普及が進んだなどの例を持ってくるところが非常に良い)。
池上彰のやさしい経済学 (1) しくみがわかる (日経ビジネス人文庫)
posted with amazlet at 16.02.03