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生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

シン・ゴジラで岡本喜八の『肉弾』を観た話

シン・ゴジラがトリガーとなってヴェーバーを読んだわけなのだが、もう一つシン・ゴジラがきっかけとなった作品に岡本喜八監督の『肉弾』がある。

シン・ゴジラ岡本喜八監督の『日本の一番長い日』の影響を(特に字幕)強く受けている作品であることはマニアからの指摘が沢山あり周知の事実と思われるが、そこでワニウエイブ先生に『肉弾』も観てほしいと勧められた。

『日本の一番長い日』はポツダム宣言受諾、玉音放送など1945年8月の終戦にまつわる政府、軍、天皇など国の中心の人々を描いた映画として非常に高く評価され、商業的にも成功し岡本喜八の名を一躍知らしめることとなった。

だが岡本喜八は大正生まれであり戦争末期には士官学校におり、多くの戦友や同窓生の死を目の当たりにしてきた世代である。『日本の一番長い日』は戦争に苦しむ市井の人々、散っていった数多の若者たちの姿を描いていない。同世代の自分だけが生き残ってしまった負い目も相まって強い葛藤があったのだろう。その翌年、1968年にその全てを吐き出したかのような作品『肉弾』を公開する。

主人公の「あいつ」は士官学校から特攻隊へ。特攻前日の唯一自由に過ごせる24時間で街をうろつき、爆撃で両腕を失った古本屋の店主(笠智衆)の用足しを手伝う代わりに枕兼暇つぶしの本として聖書を貰い、花街で人生最初で最後の夜の相手を探し求め窓から伸びてくるオバケのような顔と手を掻い潜って逃げ惑う。戦車への肉弾の特訓として砂丘を走り回り、最後は横にドラム缶をくくりつけただけの魚雷に乗って海を彷徨う。悲壮な設定であるにも関わらず映し出される映像はどれも非常に滑稽であり、現代劇のような空気も合わさりどこか浮世離れした会話とテンポに笑ってしまう。

笑わなければ、やり過ごせなかったのだろう。あまりにも軽いそのやり取りの奥に感じさせる重さは、その時代を生きた人間にしか出し得ない説得力がある。

www.nhk.or.jp

ちなみに庵野秀明は『激動の昭和史 沖縄決戦』が好きなようで、『トップをねらえ!』にもそのオマージュがあるとのこと。レンタルDVDは無かったがAmazonのレンタルにはあるようなので今度こっちも観てみようかしらん。

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