生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

人工股関節のオッサンがどたばたカーチェイスをする映画、もしくはジャズ界の帝王の虚像

『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』を観てきた。

端的に言って最高。空白の5年間の真相なんて何もなかったんや。

78年のセッションテープ(いまでも公式ではアンリリースだ)を巡って何故かマイルス(ドン・チードル)がローリングストーン誌記者(ユアン・マクレガー)とどたばたカーチェイスを巻き起こす最高のB級アクション映画。BGMは9割以上本物のマイルス・デイヴィス。マイルスでない音楽は全てロバート・グラスパー

ちょくちょく過去にフラッシュバックしてはフランシス・テイラーとの恋が描かれ、その時々、59年(サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム、ポーギーとベス)や64年(フォア&モア)、67年(ネフェルティティ)の音楽が交錯してゆく。ギル・エヴァンスとのセッション、白人警官のイチャモンによる逮捕、知っているとニヤニヤするエピソードや小道具を全部盛り込んだ最高のファンフィクション。

娯楽映画としてよくできていながら音楽が最高、なおかつわかっているとニヤつけるネタが満載ならそれは最高。楽しい気分で映画館を出られること間違い無し。決して78年のセッションの真相を求めず、そういうものはYouTube上のブートで聴きましょう。

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