生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

吉川英治 新・平家物語 (二)

全14巻であることを考えるとまだ先がずいぶん長いものの、いよいよ面白くなってきた。1巻で描かれていた藤原忠通と頼長の兄弟の政治のゴタゴタが日本史をとっていなかった人間にはチンプンカンプンであったが2巻で保元の乱平治の乱につながってゆくことでなるほどとなってくる。1巻は若き清盛の話であったが2巻は源氏にもスポットライトが当たってくる。一番は源義朝だけれど、ヒラコーのドリフターズでカバー裏で没キャラ扱いされていた源為朝の活躍が活き活きとしていた。吉川英治は血生臭い描写が少ないので呂布かシド・オルランドゥか果てはガンダムか、というほどの描写はなかったけれども十分意味がわからない化け物ぶり。

 
歴史区分として中世の始まりらしいが、春秋戦国の中国のように戦争という何もかも捨てて殺しあう中に辛うじて人間の尊厳や理性を保とうとする心が見え隠れするのがとてもいじらしい。その現れとしての華やかに飾り立てた鎧兜や一騎打ちのようなものは時と共に消え去ってより能率的に人を殺すことに特化されていくわけだけれども。
 
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