生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

生の短さについて 著:セネカ

以前図書館で借りて一度通読したのだが、その後古本で購入して本棚にぶっこんであったので風呂の間のお供に(108円で買った書き込みだらけの古本なので風呂でも躊躇せず開けていい)読む。表題作の「生の短さについて」を読み終える。

『あたかも一万年生きるかのように行動するな』と言っていたマルクス・アウレリウスと言っていることは大体同じである。セネカの切り口としては

年金や恩賞は人々が最も好んで受取るものであり、そのためには自分の苦労でも努力でも勤勉でも提供する。しかるに誰ひとりとして時間を評価する者はいない。人々は時間を無料同然に惜しみなく使う。しかし、この同じ人々が病気にかかったときを見るがよい。もしも死の危険が刻一刻と近づいてくるならば、彼らは医者の膝に取りすがるではないか。もしも死刑に脅えるならば、生きんがために財産の全部でさえ投げ出そうとしているではないか。こんな大きい感情の矛盾が彼らの内心には存在する。

のくだりが特に印象的だった。ローマ帝政の高官として生き、教え子のネロ帝に処刑された人物らしい価値観だ。

 

「時は金なり」なんてのは金の方が勝手に言い出した言葉にすぎない。時は金より重いのだから他人にホイホイとわけてやることはなく吝嗇家になるべきだ。その分金は分けてやれば良い。そんな風に聞こえてくる。

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)