生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

レストレポ前哨基地 Part.1

去年から気になっていた作品。元々ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで放送されていたものらしい。

911以降のアフガニスタン紛争、対ターリバーンのために派兵された米軍。

2007〜2008年、アフガニスタン東部コレンガル渓谷に展開したコレンガル前哨基地、またその最前線であるレストレポ前哨基地に配置された米兵たちのドキュメンタリー。

政治的主張、戦略的観点などを一切切り捨て、最前線の米陸軍兵たちに密着、その映像と後のインタビューによって構成されている。

タイトルであり前哨基地の名前でもあるレストレポは2007年7月22日に殺された衛生兵、フアン・レストレポ一等兵から取られたもの。

いつ襲われるかわからない恐怖と裏腹に何も起きない膨大な時間、すり減ってゆく神経を誤魔化すために互いにジョークを飛ばし、iPodで音楽をかけて踊ったりPSPで遊ぶ姿も映されている。

しかし突如襲撃され戦死者は出る。同僚たちは戦友の死に激しいショックを受け、上官は部下を守れなかったことに心を痛める。紛れもなく最も危険な最前線であり、この映画は観客に米兵たちの精神状態を疑似体験させるためにあると言える。戦略も政治的イデオロギーもここでは重要ではない。命令通り配置された一兵卒と同じなのだ。

映画終盤、レストレポ一等兵の一周忌に追悼の信号弾を打ち上げ、そして任期を終えた小隊は後方へ帰る。その後レストレポ前哨基地から撤退が行われ、「自分たちが犠牲を出して守ったレストレポ前哨基地とはなんだったのか?」という虚しさが心をよぎる中、これ以上死に晒される危険がないことに安堵しながら小隊はヘリコプターに乗り、映画は終わる。

共同監督の一人であった英国人ティム・ヘザリントンはその後2011年にリビアで死亡。もう一人の監督であった米国人セバスチャン・ユンガーが未使用シーンと新たなインタビューにて『レストレポ前哨基地 Part.2(原題:Korengal)』を製作している。

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