生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

バンドをやってる友達(あるいはソロプロジェクトをやってる友達)

三月十日、晴れ。

雨が降りはしたが、まだ梅が満開のチャンスということで浜離宮恩賜庭園へ行く。

この数年、やたらめったらに咲くソメイヨシノよりも梅の花を美しく感じるようになってきた。梅は香りも佇まいも風情がある。ただの天邪鬼かもしれないが。桜の花見は人が多すぎてどうも苦手だ。

梅や寒緋桜などが咲いている。そして樹木の手入れの品質が高い。先の枝だけが残され花が美しく咲くように手入れされている。緑の枝、青軸性の梅(月影か緑萼かどうもそういう名前の手合らしい)が侘びた魅力を出していた。

そしてこの浜離宮恩賜庭園そのものが中々の珍スポットでもあった。汐留のテレビ局を中心とした企業の高層ビルに周りを支配され、かつて徳川が海沿いに建てた大名庭園(つまりオーシャンビューを楽しむ空間)の周りの陸側は独特の反射をする高層ビル、海側は物流の倉庫や物々しい水門、対岸にはお台場がかすかに見える。もう徳川綱吉徳川家宣が観たであろう景色は失われている。だがかつて徳川将軍が舟を付けた門痕は残っているし、潮入の池は川の水と海の水が混ざって他の庭園の池とは異なる様を見せている。鴨、ユリカモメやシラサギが水浴びをし、石垣にはかすかにフジツボが見える。樹齢200年はあろうかという気合の入った松たちがグネグネとそんな中で存在感を放っている。

整然とした庭園とそれを取り囲む現代の東京のアンバランスさが得も言われぬ珍妙さ、戦後日本のミスマッチと真っ当な庭園の美しさを一度に楽しめるオモシロスポットであった。また行きたい。

表参道へ移動してApple StoreでiPhone 6sPlusの電池交換を依頼する。いつまでも呼び出されず、店のMBPのGarage Bandで人生初のGarage Band曲を完成させてしまうほどに待たされる。最終的に呼ばれないことを伝えたら即座対応となり、なんだったんだ。

待たされてしまったので予定がズレ、スカートのワンマンライブに開演スレスレで滑り込むことに。うすやま氏のDJで高気圧ガンダムを聴くことがかなわず悔しい。

既に6枚もアルバムを出しメジャーデビューも飾ったスカート、1stの頃はバンドをやってる友人だったのが、ライブ中だけは少しだけ遠くの人になったようにも感じる。

歯に衣着せぬ言い方をするとスカートはインディーズの時のがむしゃらな勢い、まるでパンクバンドのようなライブの勢いと迫力が最近は失われている。それはパーカッションが加わったりストリングスが入ることによってより洗練されたものになったことの裏返しでありそこはトレードオフなので当たり前とも言えるのだが、端的に言うと「澤部渡るのソロプロジェクト」であるがゆえにギターを持って弾き語りをする澤部渡の周りのサウンドが増えた以上の変化が起きていないのだ。

ギターを弾かない澤部渡、伴奏をストリングスやエレピに任せて歌うスカートがあってもいいんじゃないか?

弾き語りの延長線というのはキメやオブリの少なさにもまた表れている。「静かな夜がいい」がリリースされた際に感じた違和感は、リードギターが増えることによって今までにない要素が加えられたのだが、オブリやギターソロが寂しい(歪んでいない?)ままリズムギターが中心として存在し続けているあたりにあったのだと思う。

スカートは澤部渡によるソロプロジェクトであり、バンドではない。「俺が聴きたいのはバンドになったスカートなんだ!」ということなのかもしれない。

20/20(トゥエンティトゥエンティ)
スカート
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