生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

チューブスクリーマーとスティーリー・ダン三昧

二月二十一日、晴れ。

三日連続で晴れ、開いた予定、虚無感。

インターネットに時間を費やすのだけは避けたかったので、次善の策としてKindle版ギターマガジン2019年6月号をひなたぼっこしながら読む。

ひなたぼっこしながら過ごしていればやる気が出てくるだろうという願いがそこにはあったのだが、残念ながらやる気だけは出てこない。

チューブスクリーマーに対する基本的な知識は身についたのだが、TSV808の宣伝ありきの企画であり、OEM版(というか本家)であるMaxonのOD808などについては触れられていないので特集として不完全、10年保存版を謳っている最近のギターマガジンとしては詰めが甘いと感じる。

ひなたぼっこしながら読破。内容が薄かったとも言えるが一冊サラッと読み終えてしまった。ずっとアンプシミュレーターの比較動画などを見ている。Kemperは素晴らしいのかと思っていたのだが意外と低音がスカスカしていたり嘘くさい。やはり8年前のデジタルハードには限界があるのだろうか。しかしそれより古いはずのAxe FXが一番本物らしさがある。Line 6 Helixはどこかペタッと張り付いたような音、Bias Ampも完璧とは言えないのだがこの中だとダントツに安い。Bias Ampは今度セールになったら買おう。

『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』読了。五線譜やコードの話を出さずに、それでいて徹底的にナイトフライのテクスチャ、82年というデジタル黎明期に自家製16bitサンプラーを駆使してファーストコールのドラマー達(ジェームス・ギャドソン、ジェフ・ポーカロエド・グリーン、スティーヴ・ジョーダン)の音をループやワンショットで解体してまで安定したグルーヴを作る執拗さ(そしてこれはグリッドに張り付いたリズムが鳴る現在のDAWでの音楽へ繋がる始点でもある)、楽曲によって入れ替わるベーシスト、ギタリスト、キーボーディスト。ツギハギにされるマイケル・ブレッカー

何よりそれら全てがドナルド・フェイゲンの中にある理想の音楽へたどり着くための行為であること、どれだけ神経質な判断が絶えず繰り広げられてそのサウンドが生み出されたかをクレジット、インタビュー、音による推測の重ね合わせによって解説されてゆく。そしてそれは音楽のプロデュースワークがどのようなものであるか(ここまで極端なものはそう存在しないが)を解き明かすというアングルを併せ持っているのである。

なぜスタジオミュージシャンの名人芸、70年代の集大成である『Aja』ではなく80年代幕開けの『The Nightfly』だったのか、このような語り口を読むと全てが腑に落ちる。

中古DVDで買った『彩(エイジャ)』も観る。例のチャック・レイニーがフェイゲンに隠れて「Peg」でスラップベースを弾いたエピソードなどが披露されておりこちらも面白い。まさに名人芸話。そしてバーナード・パーディのドラムの存在感と安定感たるや。さすが世界一売れたドラマーである。

 

ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法
冨田 恵一
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