生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

いたく感激したのでこれを糧にして体力もなんとかなりませんか

一月二十三日、曇り。

朝日新聞小林よしのりの広告が載る、まぁ新聞の広告なんてそういうものだが。

10時前起床。寝付きが悪く『アフリカ音楽の正体』の冒頭を読んでいた。

『描くひと 谷口ジロー展』を観に行くために出発。千歳烏山から歩く。

世田谷文学館は非常に居心地の良い場所であった。

谷口ジローの作品をそれほど多く読んできたわけではない(孤独のグルメ坊っちゃんの時代、餓狼伝、読み始めたのが神々の山嶺といった程度)のだが生原稿の気迫に飲まれる。

特に『青の戦士』『迷子通りのレストラン』『ブランカ』などが80年代前半のまだベタ使いの多い劇画的ハードボイルドとバンドデシネがミックスされた作風の極地であり圧倒される。トーン使いが巧みであり、線とトーンと点描の境目がわからないパワーがある。

80年代半ば~後半『地球氷解事紀』などで大友克洋へのジェラシーを強く感じるが、それが90年代のベタを使わず恐ろしいトーンの使いこなし方で奥行きや空気感を生む最も親しまれ評価されている谷口ジローの作風へ到達するための経過点であったと思えば重要な転換点だろう。

餓狼伝』『孤独のグルメ』『神々の山嶺』などの80年代末から00年頃にはそれが完成されてゆき、90年の『歩くひと』がまた一つの到達点となり、その後は己の世界を更に深く発展させさらなる奥行きを白黒の漫画で描き始める。晩年はカラーの世界にも踏み入れ、更に次のステージへ向かう姿勢を見せたところで鬼籍へ入ってしまった。どの時代を見ても圧倒的な画力と描き込みであり、呼吸をするように漫画を描く人だったのだと感じる。カメラワーク、カット割りのようなアングルやコマ割りのテンポ感は非常に映像的であり、唯一無二の人を失ったのだということを再度確認した。

ヘトヘトになって帰宅。弁当を主への宥めの香りとする。

風呂に入って、これからギターを弾く。おしまい。