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mochilonという人のブログ

老人と海 著:アーネスト・ヘミングウェイ

老人と海 (新潮文庫)
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ヘミングウェイ
新潮社
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ああ、ベッドというものがあったっけ、とかれは思う。ベッドはおれの友だちだ。そうだ、ベッド、とかれは思う。ベッドってものはたいしたもんだ。

この一節がアキタランドゴシックの2巻に引用されていて、とてもシンプルで魅力的な文章に思えて手に取った。大抵中学生ぐらいの頃に読む小説だが今までまったく触れずにいたので27歳にして今更。

アメリカ文学はヨーロッパ文学にあった「登場人物の背景となる文化や歴史」とそれに左右される「内的心理描写や葛藤」 の重圧と関係なく育ち、やがてヨーロッパのそれとは異なる方向での描きかたを獲得した。心理描写はすべて行動と連携しており、人物がああだこうだと思い悩み比べたりすることはない。ハードボイルド文学の始まりなのだと。

最近日本の歴史小説ばかりを読んでいたので、このカラッとして清々しい文章はとても新鮮に感じられた。ヨーロッパ文学ではないが、歴史小説も登場人物の背景に様々な史実、生まれや出身あるいは過去の歴史の偉人の行いが色濃く現れて動くものなのでやはり同じような重苦しさを感じる時がないわけではない。それに比べてなんと清々しい世界だろう。