生きるからにはそれなりに

mochilonという人のブログ

シェイプオブもうやんカレー

三月三十日、晴れ。

夜分遅くまで寝付けなかったが9時の目覚ましで起きる。

渋谷へ行って髪を切る。もうやんカレーを食べてから新宿へ移動、TOHOシネマ新宿で『シェイプ・オブ・ウォーター』を観る。

 

大人のためのおとぎ話、美男美女ではない美女と野獣、人種性別セクシャリティ障害を含んで描く世界の中で人はどのように苦しみ、あるいは希望を見出すか。そのような世界であるからこそ、悪役のストリックランド(マイケル・シャノン)がジェンダーロールとして模範的な男であろうとあがき続けて堕ちてゆく様が際立つ。

しかし白眉は直球ではない設定から繰り出される直球のラブストーリーだろう。描かる設定こそ今までとは違うが中身は豪速球だ。ある日ありのままの姿を見てくれる異性と出会い、恋に落ちる。それを飾る映像表現は幻想的な水の揺れ方、薄暗い露光量、青とも緑ともつかない「ティール」の色彩(鴨の羽の色の名前らしい)、すべてが藻を含んだ海水のように沈めてゆく。アコーディオンや口笛によって奏でられるフランス人作曲家アレクサンドル・デスプラのたゆたうような音楽もまたその一つだ。これらの表現によってこの作品は「おとぎ話」としての色彩を放つのである。観終えた後の不思議な気持ちは絵本を読み聞かされた時のようだ。

 

新宿で少し寄り道をしてディスクユニオンへ。ジャズ館なんてずいぶん行っていなかったのだが、知らない再発が出ていたり、辛島文雄氏が亡くなっていたりする。些細なところに時の流れを感じる。もはや中古はレコードがメインとなり、RVGリマスターのブルーノートの名盤CDたちゃ600円程度で値付けされ、ブルースコーナーにはロバート・ジョンソンのコンプリート・レコーディングスが100円で何枚も転がっている。CDの価値がもう一つ落ちて終わりの影が色濃くなている。

帰宅後寝不足と疲れが一気に出て、少しの息抜きのはずが一時間ぼんやりしている有様。かといって布団に入って眠くなるわけでもない。飯を食ったら元気が出たので糖分が足りなかったのかもしれない。アミノ酸を飲んでも糖は入っていないものな。